症状について
インフルエンザの特徴のひとつは、風邪っぽい症状が始まってから12〜24時間以内に始まる、突然のように感じられる高熱です。
発熱によって体温が上がるときには、悪寒(おかん=さむけ)を伴うことが多いです。
また、「風邪ってこんなにきつかった?」「私ってこんなに体力なかったっけ?」など、倦怠感が強い傾向もあります。
その他の症状としては、咳が多い傾向にあり、鼻水やのどの痛みなどの一般的な風邪症状、関節痛や筋肉痛を伴うこともあります。
流行中かつ、39℃以上の発熱と咳があれば、80〜85%の確率でインフルエンザと言われており、気になる方はご相談下さい。
経過について
健康な成人の方であれば、通常の経過として発熱期間は3〜5日で、約1週間で全体的な治癒に向かいます。
咳は後を引くことがあります。(持病にもよります。)
後述するタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬の投与によって、発熱期間は1〜2日短縮すると言われていますが、それでももし、発熱期間が5〜7日を超える場合は肺炎を合併していることがあり得ますので、再受診してください。
検査について
インフルエンザの流行期でない場合はいろいろ問題がありますが、インフルエンザの確率を高めるため(もしくはその逆)に検査を行うことがあります。
具体的には、細い綿棒を片方の鼻から突き当たりまで入れ、のどの部分をくりくりっとするのですが、すこし痛く、くしゃみや咳が誘発されることがあります。
発症から24時間以内などあまりに早い場合は、ウイルス量が少ないため検出できないこともあります。
その場合は、症状や経過も含めて、インフルエンザらしいかどうかを再考します。
治療について
十分な休息をとりましょう
安静にして休息をとります。特に睡眠を十分にとることが大事です。
高い熱が出ますが、41℃を超えずにそんなにきつくなければ無理に下げる必要はありません。
きつい場合には、解熱剤の内服や水枕、氷枕などで頭を冷やす他、わきの下、太ももの付け根、首の頸動脈など太い動脈が通っている場所を冷やすと効果的です。
栄養や水分をとりましょう
食事は消化がよいものを選んだ方が無難です。
スポーツドリンクやスープなどで、水分を十分にとることを心がけて下さい。
「麻黄湯」というインフルエンザに効果があると言われている漢方薬を内服される場合は、発汗が多くなりますので、とくに水分摂取を心がけて下さい。
抗ウイルス薬について
抗ウイルス薬の種類は、内服薬(タミフル)、吸入薬(リレンザなど)などがあります。
患者様の状態によって適切な投与方法を考えます。
効果としては、1〜2日ぐらい発熱の期間が短縮するといわれています。
ただし、発症から48時間以内に投与を開始しないと効果がありません。
感染予防について
部屋の温度や湿度に注意しましょう
他の人への感染を防ぐために、時々換気をし、適度な温度(18〜20℃)と湿度(60〜70%)を保ちましょう。
マスクを着用しましょう
基本的にインフルエンザは「飛まつ感染」です。
基本的には1〜2メートル以上は飛びません。
そういった咳やくしゃみなどの症状がある場合は、ハンカチやティッシュで口を覆う、マスクをする、などを心がけることで、「飛まつ」を最小限に抑えられます。
天日でウイルスを減少させましょう
インフルエンザにかかっているときに着用した衣服には、ウイルスが付着していることが予想されますが、感染を起こすことはまれだといわれています。
通常の洗濯をして日向に干す、あるいはアイロンをかけるなどをしておけば、インフルエンザに限らず多くのウイルスは死滅してしまいます。
登校・出勤についての指導
インフルエンザウイルスは熱が下がっても体内に残っているので、他の人にうつす可能性があります。
一般的には発症の1日前から、発症して7日までウイルスが排出されるといわれており、この期間において患者様には感染力があるといえます。
抗ウイルス薬の投与によって発熱期間は短縮されますが、ウイルスの排出が減少するとは限らず、解熱後の感染力が弱まるわけではないので注意が必要です。
よって、流行を最小限に抑えるために前述した感染予防に十分気をつけて下さい。
学校保健法
学校保健法では、「発症後5日を経過し、かつ解熱したあと2日経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています。
幼稚園では「発症後5日を経過し、かつ解熱したあと3日経過するまで」です。
職場復帰の目安
職場復帰の目安については決まった取り決めや規則はありません。
患者様の感染力の観点からいうと最長で1週間ぐらいと非常に長くなってしまいますから、学校保健法を参考にすることもあります。
それぞれ事情は異なるでしょうから、基本的には職場の方とご相談されて下さい。
インフルエンザ罹患後は体力の低下もございますので、以上の点を十分考慮の上、いずれの場合も無理をせず体力がある程度回復した後に復帰するのが妥当と考えます。